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おお麻(ヘンプ)について

おお麻(ヘンプ)とは、世界各地に分布するアサ科の一年草のことです。日本では、「大麻草」、あるいは「大麻」と呼ばれる植物をいい、亜麻やマニラ麻など世界で20種類以上ある麻のうちの一種です。

■おお麻、ヘンプという用語-----当店では“おお麻”で統一しています。法律や日本の伝統文化との関係などで、わかりづらい場合は大麻と表現しています。

■日本国内での個人使用-----おお麻を嗜好品(ドラッグ)としては推奨していません。大麻取締法では所持・栽培・譲渡等が禁じられています。

■当店の立場-----おお麻は経済・文化・地球環境といった面で利用価値の高い植物であり、循環型社会の形成に必要なバイオマス(生物資源)のひとつと捉えています。


1.日本の法律上の位置づけ

大麻草というと、誤解されがちなのですが、大麻取締法という法律上、大麻とは花穂と葉のことで、種子と茎、これらからできた製品は対象外です。

大麻取締法 第1条〔大麻の定義〕
この法律で「大麻」とは、大麻草(カンナビス・サティバ・エル)及びその製品をいう。 ただし、大麻草の成熟した茎及びその製品(樹脂を除く。)並びに大麻草の種子及びその製品を除く。


日本の大麻取締法上の大麻草の位置づけ
合法(法規制外部位) 違法(法規制部位)
大麻草 成熟した茎と種子 大麻=花穂と葉
大麻草からできる製品 伝統工芸利用
麻織物・神事用・民芸品・花火・弓弦・結納品など
医療利用
鎮痛剤・制吐薬・緑内障薬
神経性難病薬
産業利用
衣服・雑貨・紙・食品
建材・化粧品・燃料など
嗜好品
ソフトドラッグとしてマリファナ・ハッシッシなど

※大麻草の栽培は、都道府県知事の許可を得なければならない。
「ヘンプ読本」築地書館より。


2.おお麻の歴史と他の繊維との違い

調べてみると、おお麻(ヘンプ)は、日本においては戦前まで衣食住をはじめ、医療、建築、神事などに日本の文化と歴史に深く関わりながら、絹とともに綿よりもずっと古くから使われてきたようです。

主な繊維材料との違いを表にまとめてみました。

主な繊維材料の種類
種類 大麻草 綿
呼び名 たいまそう きぬ めん
別名 Hemp
ヘンプ
Silk
シルク
Cotton
コットン
学名 Cannabis Sativa L.
カンナビス・サティバ・エル
- Gossypium.
ゴシピウム
分類 アサ科
一年草
- アオイ科ワタ属
多年草
原産地 中央アジア 中国 インド
アフリカ
世界の主な生産国 中国
フランス
ルーマニア
中国
インド
タイ
日本
世界60カ国以上
遺跡等での出土 中国・ゴビ砂漠の墓遺跡から2700年前の乾燥大麻 紀元前1000年頃の古代エジプト遺跡から中国絹の断片 紀元前2500年頃から古代インダス地方で繊維作物として栽培
日本への伝来時期 福井県・鳥浜遺跡(1万年前)から種子と繊維 弥生時代前期の墓から出土 平安時代初期
日本の産地 栃木
長野
群馬
埼玉
福島
大阪
静岡
愛知
兵庫
主な用途 下駄の鼻緒、蚊帳、衣料、混紡地、畳の縦糸 衣料、寝具、弦楽器の弦 衣料、寝具
特徴 ・強い
・放熱性が高い
・汗を蒸発させる効果がある
・抗菌作用がある
・消臭力がある
・従来の麻製品(亜麻や苧麻)にはない、やわらかな肌触りと風合い
・軽くて丈夫、やわらかい
・吸湿性が良い
・染色性が良い
・通気性が良い
・家庭での洗濯が困難
・変色しやすい
・虫に食われやすい
・伸びにくい
・丈夫
・吸湿性がある
・肌触りがよい
・縮みやすい

「ヘンプ読本」築地書館などを参考に作成。


普段の私たちの生活で最も用いられているのは綿(コットン)ですが、栽培時に大量の除草剤、殺虫剤等の農薬が使われており、製品化の工程でも多くの化学薬品が使われていることはあまり知られていません。

農薬を使わずに栽培するオーガニックコットンと並んで、自然派志向の定番となってきたのがおお麻(ヘンプ)です。


とくに近年、おお麻(ヘンプ)は約90日で3~4mにも成長する生産性の高さや、さまざまな製品に活用できる応用性から、日本以外の国、ヨーロッパやカナダなどの欧米諸国では環境素材として見直され、石油に変わる循環可能な社会形成に不可欠な植物として注目されています。


3.これまでの麻と、おお麻の違い


戦前までは麻といえば、おお麻(ヘンプ)のことだったようです。それが戦後60年以上を経て認識が違うものになりました。

現在は麻と言えば、亜麻(あま、リネン)と苧麻(ちょま、ラミー)を指します。

なお、家庭用品品質表示法で、麻と表示することが認められているのは、衣服やシーツの素材として使われている亜麻と苧麻の2種類だけで、おお麻(ヘンプ)は“指定外繊維”として扱われます。


従来の麻、亜麻と苧麻
種類 亜麻 苧麻
呼び名 あま ちょま
別名 Flax
フラックス
リネン
Ramie
ラミー
からむし
学名 Linum usitatissimum. Boehmeria nivea Gand.
分類 アマ科
一年草
イラクサ科
多年草
原産地 中央アジア 東南アジア
世界の主な生産国 中国北部
フランス
ベラルーシ
中国南部
ブラジル
フィリピン
遺跡等での出土 紀元前3000~4000年頃のスイス遺跡から種と繊維で織った布 中国・新石器時代の遺跡から4700年以前の布と紐が出土
日本への伝来時期 明治初期 秋田県・中山遺跡(縄文晩期)から編布
日本の産地 北海道 本州各地
福島
主な用途 服、帆布、漁網、ホース、芯地 服、寝装具、資材、漁網、芯地
特徴 ・繊維は細く短い
・糸強力はラミーに次ぐ
・色はリネン特有の黄味がかった色
・シャリ感が少なくしなやかである
・水分の吸収、発散性がラミーに次ぐ
・繊維は太く長い
・糸強力は強い
・色は白く、絹のような光沢がある
・シャリ感があり腰がある
・水分の吸収、放湿、発散性に優れている

「ヘンプ読本」築地書館などを参考に作成。


おお麻(ヘンプ)は、従来の麻には無い柔らかな肌触りと風合いが特長です。

下記に、おお麻(ヘンプ)の特長をまとめました。



・熱を逃がし、汗をすぐ乾かせ、また清涼感があります。

・繊維の細長い空洞(ルーメン)をもつ内部構造によって、静電気がおこりにくいです。

・サラサラとした風合いとシャリ感で暑い夏は涼しく、寒い冬も肌を快適に保つことができます。

・腰としなやかさ、独特の質感とツヤ、ナチュラル感のある風合いを併せ持っています。


4.世界の産業用おお麻(ヘンプ)


おお麻の日本における栽培面積はここ5年、約6ヘクタールと横ばいで推移していますが、世界を見渡すと、「産業用ヘンプ」は、医療用・嗜好用と分別され、先進国を中心に生産・利用の両面で急速な発展を遂げているようです。
たとえば、アメリカの産業用ヘンプの市場規模は2016年で6億8800万ドル(約778億円)(http://urx.mobi/DOOZ参照)におよびます。

おお麻の用途別の種類
名称 品種 主な
利用部位
利用目的 定義
Industrial hemp
産業用ヘンプ
繊維型 種子、茎、葉 産業用 THC濃度0.3%以下の品種
CBD濃度は1 ~3%
Medical marijuana
医療用大麻
薬用型 花序、葉 治療 THC濃度5 ~20%の品種
Recreational use
嗜好用大麻
マリファナ 
花序 嗜好品 THC濃度5 ~25%の品種
対象年齢は21歳以上
タバコ代替の課税対象
『農業経営者』2017年10月号, P.16より引用。


産業用ヘンプは、茎、種子、葉の3つの生産物からさまざまな加工を経て、各種商品がつくられます。それぞれの部位にはさまざまな利用用途があり、新しい分野での用途開発が進められている状況です。


産業用ヘンプの事業領域
靭皮繊維
1.5 ~ 2.5トン/ヘクタール
オガラ(麻幹)
5 ~ 10トン/ヘクタール
麻の実
0.7 ~ 1.5トン/ヘクタール
麻の葉
1 ~ 2トン/ヘクタール
<紡績>
麻布・衣類、ロープ・紐、靴、アクセサリー、ふとん

<不織布>
断熱材、床マット、植生マット緩衝マット、自動車部品

<成形加工>
自動車内装材、FRP強化材

<パルプ>
タバコ巻紙、印刷用紙、絶縁紙
<チップ化>
馬・牛敷藁、小動物用敷藁、左官材料、壁材、園芸資材

<微粉砕>
プラスチックの副原料、堆肥

<合板>
住宅建材、家具、インテリア

<炭化>
火薬原料、調湿材、土壌改良材、水質浄化材、カーボンナノチューブ

<パルプ化>
特殊紙、レーヨン原料
<食品>
七味唐辛子、和え物、菓子、麻ミルク、パン、パスタ・そば、ビール、バター、ドレッシング、料理油、サプリメント、プロテインパウダー

<生薬>
麻子仁(マシニン)

<オイル>
木工塗料、化粧オイル、潤滑油、石けん

<飼料>
鳥用・魚用エサ、家畜飼料
<畑に還元>
肥料

<乾燥・粉砕>
食品原料、ハーブ茶

<抽出>
CBD製品(サプリメント、チンキ剤、菓子、飲料、電子タバコ、クリーム等の化粧品、ペット用食品)、医薬品原料
※THC濃度0.3%未満の産業用ヘンプの品種であっても製品化が違法な国・地域がある。
『農業経営者』2017年10月号
, P.19より引用。


5.おお麻に関する世界の主な出来事


おお麻に関する世界の主な出来事を下記に示します。

おお麻に関する世界の主な出来事
 6億年前 生物進化の過程で、脊椎動物の原型である脊索動物ホヤの一種に、エンド・カンナビノイドシステムが備わる。
3400万年前 被子植物双子葉類バラ目アサ属アサ科Cannabissativa L. の野生種が発生。
原 始 BC
8000頃 
麻縄がこの頃には使われていた。
※ 福井県鳥浜遺跡から麻縄が発掘されている。
BC
2300頃
中国で世界最古の医学書に記載(『神農本草経』2~3世紀)。
BC
100頃
中国で麻から紙がつくられる(『後漢書』)。現存する世界最古の紙とされる。
古 代  800頃 世界各地で麻の栽培・利用が広がる。
※ 世界各地の遺跡からこの頃の麻繊維、種子などが発掘され、東大寺正倉院(奈良県)に麻紙が遺されている。
中 世  1450 グーテンベルグが活版印刷を発明。麻紙の聖書を出版する。
 1492 麻製の帆やロープを使ったコロンブスの船が米国に到着。大航海時代の帆船用にヨーロッパ、ロシアで麻栽培が盛んになる。
近 世 1753 スウェーデンの植物学者リンネがカンナビス・サティバを分類。
1770 蒸気機関の発明により、麻製の帆やロープの需要が減っていく。
1842 アイルランドの医師であるO'Shaughnessy がイギリスの医学雑誌で麻に関する研究を発表。
1850 カナビスが米国薬局方に追加(1915年まで医薬品として一般流通)。
近 代 1910 メキシコ革命によりメキシコから米国に移住者が流入し、娯楽使用の習慣を米国社会に導入。
1914 米国でハリソン法が成立し、マリファナの使用を犯罪として定義(1929年の法改正により、常習性のある麻薬として大麻植物やその含有物、派生物等を規定)。
1924 第二回国際アヘン会議で初めてインド大麻(薬用型の品種)を規制する条約ができる。
1930 フォード・モーターズがヘンプを使った自動車研究を開始(後1941年に土に還るオーガニック・カーとして発表)。
1937 米国でマリファナ課税法が成立し、実質的に栽培禁止となる。
1941 戦時中の米国では軍需のため一時的に栽培を解禁。
現 代 1945 米国GHQは、日本に対して大麻の全面禁止の覚え書きを発行。その後の交渉により1948年に大麻取締法が制定され、日本国内での麻栽培は免許制になる。
1961 国連麻薬に関する単一条約が採択され、産業用を除く大麻植物が規制対象に(1964年に日本は批准)。 
1964 イスラエルでマリファナ成分THC(テトラヒドロカンナビノール)が発見される。
1970 ヨーロッパ共通農業政策において亜麻と麻の補助金規制枠組みができる。欧米発のヒッピーカルチャーと共にマリファナ文化が世界的に普及。
1971 向精神薬条約が制定され、THCが規制物質となる。 
1973 オランダで大麻植物の個人使用を非犯罪化。
1990 体内にあるエンド・カンナビノイドの発見により、カンナビノイド受容体CB1、CB2を発見。
1993 イギリスで産業用ヘンプの栽培を開始。1994年にオランダ、1996年にドイツ、1998年にカナダで規制緩和が敢行される。
1996 米国カリフォルニア州で医療用大麻を住民投票の賛成過半数により合法化。
2000 EUの規則で産業用ヘンプの品種の定義がTHC濃度0.2%以下となる。
2005 イギリスGW製薬が大麻植物由来の医薬品をカナダで発売。
2011 カナダで繊維型および薬用型品種の全ゲノム解析のドラフトを発表。
2013 ウルグアイで、嗜好用大麻が世界で初めて合法化。米国CNNの医療番組で医療用大麻、とくにCBD(カンナビジオール)が有名になる。
2014 米国で産業用ヘンプの栽培を再開。
米国コロラド州、ワシントン州で嗜好用大麻が合法化。
2016 WHO(世界保健機関)が国際条約の大麻の麻薬指定の手続きが正式ではなかったと表明。
2018 カナダが先進国で初めて嗜好用大麻を合法化。
『農業経営者』2017年10月号, PP.21~23より引用。


6.おお麻をめぐる日本史


おお麻をめぐる日本史は下記のとおりです。かつては全国各地で栽培され、幅広く利用してきた日本には、おお麻に対する使命、役割があると思います。

おお麻をめぐる日本史
縄文時代
12000年前の鳥浜貝塚から大麻の縄が出土する。
縄文土器の模様は大麻の縄でつけた。
弥生時代 静岡市の登呂遺跡から出土した大半が大麻製の織物。
3~4世紀 阿波忌部族が畿内に進出しヤマト王権成立の立役者となった。同時に阿波から全国に麻の技術を伝えた。
古代~
阿部忌部直系の氏が天皇陛下が即位後大嘗祭でのみ使用する「あらたえ」(麻の織物)を製作した。
古代~1466年で中断、1687年に一時復活し、1735年以降継続している。
奈良時代 『常陸風土記』『播磨風土記』『出雲風土記』『大日本史』などには日本各地で麻が栽培されていたことが記されている。
平安時代 『延喜式』では、17~20歳以下の男子が納める郷土の産物を貢納する国として、伊勢・尾張・三河・武蔵・上総・下総・常陸・上野・下野・越前・筑前・肥後・日向・信濃から麻が入っている。
平安末期から
  鎌倉時代
伊勢神宮に仕えていた祠官が全国各地へと赴き祈祷をしてその「しるし」として御祓大麻を授与するようになった。江戸中期には全国世帯の約9割に頒布された。
武家政治は質素を旨としたところから麻の生産量が増えた。
江戸時代 木綿が一般庶民にも普及し麻の地位が低下したが、農民の衣服はほとんどが大麻の布であり、武士の裃は大麻の布で作った。一方で高級麻織物が普及し、近江上布(縦糸に苧麻、横糸に大麻を使った麻織物)は彦根藩の保護を受けて発達した。
明治時代
明治政府が大麻と亜麻の栽培を北海道で奨励したが、軍服、艦船用ロープなどの需要が第二次世界大戦後になくなり、そのまま野生大麻となった。
1886年、日本薬局方(第一局)に印度大麻草と印度大麻草エキスの2つが収載された。明治政府はドイツ医学を手本とした薬局方を採用、1951年の第6局改正まで65年間、大麻は医薬品登録され、鎮痛剤や喘息薬などに使われた。  
大正時代 1921年、大幅に改定された日本薬局方(第四局)に印度大麻草チンキを追加して収載され、 内服で鎮痛薬や催眠剤に用い、外服で巻煙草にして喘息薬として用いた。
昭  和
1930年、アヘン条約の批准に伴い「麻薬取締規則」(昭和5年5月19日内務省令第17号)を制定。大麻草に関しては印度大麻草の樹脂とこれを含むものを麻薬に指定し、輸出入が内務大臣の許可制、製造等が届出制となった。日本で縄や布用に栽培されていた大麻草は、印度大麻草とは違ったため規制対象外であった。
1939年、戦時中に艦船用ロープや軍服などの軍需用に大麻の増産が奨励された。
1940年、農務省から大麻繊維の売買価格が国家統制品となった(終戦とともに廃止)。
1945年、占領軍(GHQ公衆衛生福祉局)により発行された覚書で大麻草が全面禁止とされる。しかし、当時の繊維原料として重要であったため、再三の交渉の結果、栽培には免許許可を必要とする制度として1948年7月に「大麻取締法」が制定され、同年8月に「指定農林物資検査法施行規則農林省令第64号」により、栽培地に17県が指定された。

1978年、栃木県は大麻の種子を他県に配布することを禁止した。1981年、九州大学薬学部の協力により栃木県農業試験場は、薬理成分THCが極めて低い 「とちぎしろ」を開発し、農家への普及を図った。

平  成
1996年、民間で初めて新規に大麻取扱者免許が許可された。

2001年、厚労省は、大麻栽培者免許の交付は、伝統工芸の継承もしくは生活必需品として生活に密着した必要不可欠な場合という2つの基準を示した。

2003年、「構造改革特別区域法」(平成14年法律第189号)の第4次提案で、長野県美麻村が産業用大麻特区を申請したが、特区しては認められなかった。

2004年、構造改革特区の第5次提案および第6次提案で、岩手県紫波町が「麻による農業6次産業化構想」をまとめ、麻栽培免許の交付要件の緩和(産業用利用を目的とする麻栽培を追加)の特区を申請したが、特区としては認められなかった。

2007年、構造改革特区の第12次提案で、全国16地域・会社で21件分を「産業用大麻の種子の輸入規制緩和」特区として申請。
これは栃木県で開発された低THC品種の「とちぎしろ」が県外不出としているため、新規に大麻栽培者免許を取った方が、種子の確保ができないという問題に起因する。低THC品種は、EUやカナダの種子会社が保有しており、そこからの輸入が可能となるような規制緩和を厚労省と経済省に求めたが、すべて特区としては認められなかった。

2008年、北海道北見市が国の構造改革の北海道版のチャレンジパートナー特区に8月8日付で「産業用大麻栽培特区」に認定され、大規模栽培に向けた種子確保やTHC検査体制などの環境整備の議論が始まった。


2012年、麻に関する伝統文化、生活の中で伝えられてきた技術の伝承と産業振興のため、日本麻振興会が設立される。

2013年、鳥取県で戦後初めて大麻取扱者免許が許可され、同県智頭町で約60年ぶりに大麻栽培が復活した。

2014年、北海道知事が道議会一般質問において、薬物乱用につながるマリファナ成分が非常に少なく繊維など多様な用途がある産業用大麻を試験栽培する考えを明らかに。
北海道と東川町、農業生産法人らが連携し寒冷地に適した品種改良や住宅用断熱材などの材料としての可能性をさぐる目的で試験栽培を開始した。麻の社会的信用を高め、産業化に弾みをつけるねらいで一般社団法人「北海道産業用大麻協会」が設立される。

2016年、徳島県吉野川市が平成の合併前に存在していた麻植郡の名称の由来とされる麻の生産復活へ向けた取り組みを開始。
同年10月、鳥取県智頭町で県の許可を得て産業用大麻を栽培していた生産者が大麻取締法違反(所持)で逮捕。このことを受け厚生労働省はその翌月、大麻が乱用された場合に保健衛生上の危害が甚大だとして大麻の管理徹底を求める通知を全国の自治体に出した。
同年12月、鳥取県において産業用を含めた大麻草の栽培を禁止し、免許を交付しないとする薬物乱用防止条例改正案が県議会本会議で全会一致で可決し、成立。

同年11月、神社仏閣用の麻製品に使われている大麻の国産栽培を目指す伊勢麻振興協会が三重県に栽培許可の申請をするも2017年1月、県内で栽培する合理的な理由がないという理由で不許可となる。これを受けて、同協会は盗難防止の対策を考えるなどし5月初旬までに再申請する考えを同県に伝えた。

2017年2月、徳島県吉野川市が麻植郡の名称の由来とされる麻の生産復活へ向けた「麻産業創出推進事業」を鳥取県から種子を入手する予定にしていたができなくなったために断念。

2018年1月、伊勢麻振興協会が三重県に対し、神事用の大麻栽培許可を再申請(2回目)。

同年4月、三重県は伊勢麻振興協会が申請した神事用の大麻栽培を「合理的な必要性がある」として許可。供給先を多度大社(桑名市)と椿大神社(鈴鹿市)の2つの神社に限るなどの対応が認められた格好(協会は当初、約530の神社に栽培した大麻を供給することを検討していたが、申請に至るまでに県と事前協議を重ねる中で、この2つに絞り込んだ)。三重県で大麻栽培の許可が与えられたのは初。同年12月、上記2社に精麻5キロずつが初奉納された。

同年10月、新天皇が即位されるのに伴う重要な儀式「大嘗祭」に調進される織物、麁服(あらたえ)の原料となる麻を育てる畑(徳島県美馬市)の地鎮祭がNPO法人あらたえ(西正二会長)の主催で行われた。

2019年4月、麁服の制作に向け阿波忌部氏の直系、三木信夫さんはじめ、地元の関係者などおよそ70人が参列して種まき式が行われた。

同年7月、関係者40人が出席し、麁服の材料となる3メートルほどに成長した大麻を収穫。収穫は「抜麻式」と呼ばれ、つづいて、殺菌し繊維を丈夫にするための「初蒸式」も行われた。

同年8月、麁服となる麻糸を紡ぐ「初紡式」が三ツ木八幡神社(徳島県美馬市)にて行われた。関係者約70人が出席した。

同年9月、麻糸が山崎忌部神社(徳島県吉野川市)に引き渡され、織り初め式が行われました。

同年10月、麁服が完成し、徳島県内2ヵ所(木屋平総合支所、山崎忌部神社)にて出発式が行われました。
『農業経営者』2012年9月号, P.28より引用、加筆。



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